今回は以前のこの記事に関連した情報をご紹介したいと思います。
結論は、 ISO 20022 の導入が2025年11月。これに準拠するデジタル通貨がありますので、変化の時を迎える、という内容です。
はじめに:身近にある?ISO
ISO(国際標準化機構)の正式名称は International Organization for Standardization です。企業のコーポレイトサイトをみると、品質マネジメントシステム(ISO 9001)、環境マネジメントシステム(ISO14001)が書かれていたりします。
冒頭から身近に感じられない堅苦しい話だと思いますよね。
例えば、次のイメージを見てください。これを知らない人はいないと思いますが、この非常口マークも ISOです(ISO 7010)。

その他にもクレットカードや、ネジ、A4サイズ(210mm×297mm)も規格されたもので、実は身近なところにもあるものです。
今回は、デジタル通貨と関連がある「ISO 20022」についてご紹介いたします。
「ISO 20022」とは?
ISO 20022 は、金融業の枠組みで利用される通信メッセージ規格です。2004年に制定されました。
ISO 7775 の後継が「ISO 20022」です1。
国際的な証券取引に用いられる通信メッセージ標準について規定している。各国事情に合わせた証券メッセージ・フォーマットを作成可能とするために、各国証券市場において参加者間の送受信が必要とされる情報(メッセージの内容、メッセージ・フォーマット等)の作成規則を規定している。以前利用されていた ISO 7775 の後継規格として、1999 年に制定された。本規格の改訂版(2nd edition)は、XML などの新しい要素技術を採り入れ、金融業務全般における幅広い利用を想定した通信メッセージ標準として位置付けられ、ISO 20022 として発行されている。
銀行間の国際金融取引といえば、SWIFT(国際銀行間通信協会)がありますが、2023年3月より ISO 20022 対応をスタートさせています。
日本国内の送金規格の対応は?
国内の銀行間の送金方法は、これまで EDI(電子データ交換)においては固定長形式2で行われていました。前述の ISO 20022 と同様に現在は XML 形式で対応できるよう金融機関に導入されています。
これは「全国銀行データ通信システム」のサービスの全銀EDI3(ZEDI)サービスを導入したことで対応を進めています。2018年12月25日に稼動を開始しています。

「ISO 20022」(XML形式)の特徴
一般的に標準化することで、業務などの効率の向上、品質の安定化、コスト削減があります。
ISO 20022 対応によって XML 形式に変わりますが、特徴は大きく3つあります。
メッセージが汎用性・柔軟性の高いフォーマットで書かれていること。
- 内容がテキスト形式なので、人間の目で見て読み取れる情報になっている。
- 項目の意味をタグで表現されているため、内容が分かりやすい。

通信メッセージのフォーマットだけでなく、前提となる業務の流れやメッセージの条件なども標準化の対象とする階層構造になっていること。
- 階層構造にすることで、フォーマットの変更に柔軟に対応できる。
- システムやアプリケーションを問わず、データを交換できるフォーマットである。
標準化された内容が規格自体ではなく、レポジトリ(進化するオンライン辞書)に保存する形で登録が行われること。
- データの整合性が維持され、一元管理することで作業の効率化が図れる。
- 履歴が管理できるためリスク管理ができる。
なお、レポジトリ(repository)は保存場所を表しますが、メッセージが登録されるデータベースの維持管理は SWIFT が行います。
メリットは
私たちにとって、一番大きなメリットは金融機関利用時など決済時の手数料が安くなることです。
世の中全体で見ると、サイバーフィジカルシステム(CPS:Cyber Physical System)が発展することで、人を介した作業が減り IoT や AI の活用により、様々なことが自動化されていく世の中になっていくことでしょう。

CPS の発展は、産業構造の大変革が予想される、ということを経済産業省のサイトでも記載があるものです。私が初めてドローンを触ってみたのは、2010年。10年で大きく発展しました。
CPS という言葉自体、2015年ごろには言われて初めていますが、それから10年経っています。変革前夜を感じませんか?
革命の一端に触れる
話を戻しますが、「ISO 20022」。この外国送金のフォーマットの移行には期限があります。
それは、2025年11月。SWIFT が2025年11月にこれまでのフォーマット廃止を予定しているためです。
日本国内においては、XML 形式で対応できる状態になっていて、これを簡単に「ISO 20022」へ切り替えることができる状態になっており、実際に各金融機関において、対応計画がHPに記載されています4。
実は、デジタル通貨において ISO 20022 に準拠するものがあります。一つは以前、こちらの記事に記載していますが実証実験が行われた、Ripple(XRP)です。そのほか Stellar(XLM)やHedera(HBAR)もあります。
最近になってデジタル通貨の大幅な上昇が見られますが、ISO 20022の移行とも関連しているのではないでしょうか。もし、デジタル通貨の保有を検討しようと思ったら、まずこの機会に口座開設してはいかがでしょうか。
私自身口座は複数の取引所を利用していますが、この URL より、口座開設の手続きを行っていただくと紹介プログラムで現金1,000円がもらえます(SVI VCトレードへの口座開設リンク)。

最後に
デジタル通貨に対してネガティブな印象を持っている人は多いと思います。
新しいテクノロジーは、素人が扱うのが難しいように、ある程度リスクを理解した上で始めた人は失敗もあるし、その逆に成功した時の実りは大きいものです。
しかしながら、これまで記事かしてきたように世の中の変化と、一般企業や日本銀行もデジタル通貨のテクノロジーを使った取り組みを進めています。
もちろん、株取引を一度も行なっていない人にとってはハードルは高いものと思います。リスクを取りたくないのであれば、流行をしてから始めれば良いと思います。
2025年11月まで、残すところ3ヶ月あまり。
あなたの選択が最善でありますように。
ちなみに、冒頭の非常口マークは日本人によってデザインされたものが採用されています。
多摩美術大学の教授をされているのですね。
- 金融情報技術の国際標準化についての「全文」参照 ↩︎
- 私がエンジニアだった時 HULFT を触っていてシステム改修対応を行なっていたこともあります。 ↩︎
- 全銀EDIシステムとは|全国銀行資金決済ネットワーク 参照 ↩︎
- 一例として関連リンクを示します。
・外国送金のISO20022移行について(送金依頼方法の変更) | 三菱UFJ銀行
・外国送金の国際標準フォーマット化(ISO20022準拠対応)について : 三井住友銀行
・外国送金におけるISO20022移行への対応について | みずほ銀行 ↩︎

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